162.9

0.1mm足りない

本の間のあのはがき

最近よく、書籍の間に挟まっているはがきに感想を書いて出すようになった。ここが好きだった、よかったということを数行でも書くようにしている。

 

以前はなんかはさまってるなーと思って捨てるか、しおりがわりにしてスルーしていた。書籍に限らず何かしらのアンケートで回答が自由のものは、書かずにいることも多かった。

 

言葉にして伝えるという行為が特段好きなわけでも、得意なわけでもない。むしろ苦手な方だと思っていて、悶々とああでもないこうでもないとぐるぐると考えて文章を組み立てているうちに「やっぱりいいや」となることも多い。実際今までそうだった。

 

きっかけは、昔から大好きな同人作家さんが、悪意ある言葉に筆を折りそうになったという話を目にしたことだった。幸いにもその同人作家さんは今でも活動を続けてくださっているのだが、それを見てから、作り手に「好き」をお返しすることを考えるようになった。

 

面白かった、好きだというプラスの感想でも、伝えればいいというものでもなく、それが作り手の負担になることもあると思う。(Twitterとかの「クソリプ」うんぬんしかり)また、同じ言葉を選んだとしても、それがどの立場から発せられたかによって届き方が全く違うこともある。見当違いの感想でがっかりさせてしまうかもしれない。よく、「悪意をぶつけてくる人より、好きと言ってくれる人を大切にしよう」みたいな言説もあるけれど、私はそれは少し強引で鈍感だと思ってしまう。たった一つの悪意でも、致命的な傷になることは本当によくあることで、特に創作活動をされているやわらかな感受性を持った方ににとってはなおさらだろう。

 

だから自分のひとつのお返しが、何か影響するなんて微塵も思わないし、悪意と同じように、勝手なエゴに過ぎないかもしれない。迷惑かもしれない。それでも、作品が好きだと伝えること、面白かった、楽しかったと感想をお返しすることは、何かの意味があるのだと信じたい。作り手側はそのあたりをどのように感じられているのか、いろいろな方のお話も聞いてみたい。